2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧
学校で虐められた。虐めた奴の名前は全部覚えている。どんな顔をしていてどんなことを僕にしたのか。すべて覚えているし、忘れない。忘れないだろうけども、全部ノートに細かく書いた。それで終わったと思った。何もかも終わったって思った。僕は生きていく…
高畠善信は善を信じていた。善行の効果を絶対視していた。だから軽トラで迫り来る津波から逃げる途中でも自分が死ぬわけがないと堅く信じることができた。軽トラがひび割れた道にバウンドしてはまりこんだが、なんと津波の力で車は押されるように穴から抜け…
ナオミは地下室で、十年を過ごしていた。父親のマサオが彼女を監禁し続けていたのだ。ナオミは小さい電球の光だけ浴びて暮らしていた。適切なビタミンや食事はマサオがサプリメントを混ぜた猫飯を彼女に与え続けたせいでどうにか生きている状態だが、彼女は…
みなさんの健康と幸運を祈ります 僕は××側につきみなさんと戦うつもりです 僕はあなたを銃で何発か撃つつもりですがどうか死なないで下さい お元気で
烈しい歯軋りをした観音寺は寝返りをうつ時に必ずと云っていいぐらいに背中も打つのだ。それから痛いと云う。イタイイタイと繰り返し蝙蝠が産婦人科医院の上を飛んでいる間中×つまりは夜だ×夜の間中にずっとそうやって云っては自分は不眠症なのだと観音寺は…
例え皆が是とも否と答えることこそ至上の誉 ぼくがみた せかいはきたならしく あかに まみれて よごれている こくえんが とおくのほうで あがっていて べんとうかたて みんなはのこのこでかけ てんぷく はんぷく いやなゆめ ぼくは どろみずをすする ごうか …
人工知能を移植されて早弐十と七年が過ぎました。ぼくは自分を人間だと勘違いしている器械です。こんばんは。ぼくが「そのこと」に気付いたのが忘れもしません。一昨日の飲み会の帰りでした。同僚の花田教子さんと帰る方向が一緒だったのでタクシーに同車さ…
この世には善と悪が対立している。そしてその比率たるや、人によって違い、1対9という人もあれば、半々という人もいる。善と悪とのふたつしかないのであれば、それは半々であるとみていいだろう。そうしなければ、対立すること自体が意味をなさなくなるの…
昨年亡くなられたマーク・リンコスさんへの哀悼の意を表明します。 フレディーはその日ぬらぬらする寝起きの顔を亡霊のように揺らしながら妻と飼い犬たちに今朝方見た夢を語った。もごもごと喋る様子はいつもどおりの奇人ぶりであり、妻もそして弟のアレクス…
黎明期。ぼくと鳥子。鳥子と早凪。関係性の図式を描くと筋肉は余計に電流を流し始めた。早凪は学生の分際でぼくの大切な鳥子をそそのかし、二人で手に手をとって逃げたわけであって、ぼくは何もそれを手をこまねいて見ていた朴念仁というわけでもなしに、た…
それがゾンビとグールと死人の町だと気付いたのがいつの頃か。僕は雨に濡れた燦然と輝く県道を右へ左へと行き行き、見慣れぬながらもよくある商店や食事処の景色などをぼんやりと眺めた。牛タンと饂飩の店では店の奥までよく見渡せて饂飩をこねる主人と虚ろ…